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18 2018

スケート少女の自伝的コミック『スピン』

涼しくなりましたね!
エアコンを使わなくてもいいって、すごく嬉しい。
身体が楽です。
このまま秋に―――と、都合よくはいかないでしょうけど。


気付けば久しぶりのブログ更新です。
なんでだろ~♪
暑さで倒れていたわけでも、バカンスに出掛けていたわけでも、なんでもありませんのよ。


酷暑の間は録りためたフィギュアスケート大会の録画をよく見ていました。
気分だけでも涼しくなれそうな気がして。


華やかなフィギュアスケートの世界。
素晴らしい演技は喜びや幸せを与えてくれます。
同時になんと残酷なスポーツかと思うこともあります。


いつも試合で実力を出せない選手。
ケガや病気に泣く選手。
幼いころから注目されながら、ついに実績を残せずリンクを去る選手。
13~14歳でピークを迎えてしまい、あとは名前を聞くことなく消えていく選手。


それぞれ才能豊かで、たくさん努力も積んできたであろう、彼女彼ら。
それだけではどうにもならない現実がある。
だからこそ、氷上の一瞬の輝きがいっそう眩いのかもしれません。


フィギュアスケートつながりで、おススメしたいYAコミックをご紹介します。

『スピン』
ティリー・ウォルデン(著)有澤真庭(訳)
河出書房新社 2018.02


 


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5歳から17歳まで、12年間フィギュアとシンクロナイズドスケートの選手だった著者の自伝的作品です。
早朝から深夜まで、スケートが日常の中心にある少女ティリー(著者自身)の日々が、シンプルな絵柄と、研ぎ澄まされた短いことばでたんたんと綴られていきます。
ト書きが多めのコミック、という感じでしょうか。


わたしはコミックって、ほとんど読まないんです。
これは、アメリカ国内のみならず、世界中で高く評価されている作品、と知り、大好きなフィギュアが題材なこともあって興味を持って読んでみました。


フィギュアスケートを通した少女の成長物語であることは間違いないのですが、いわゆるスポ根的な要素はほぼありません。
むしろ、リンク外の場面の方がずっと多いのです。
家族との関わり、チームメイトとのやりとり、学校生活や進路の悩み、そして同性との恋愛や別れ、カミングアウト―――。
自分で自分をもてあまし、傷つき、とまどい悩む少女の内面がきめ細やかに描かれます。


読んでいると胸の奥がひりひりしてきます。
ティリーがスケートを楽しむ場面はごくわずか。
繰り返し描かれるのは、早起きの辛さ、練習の厳しさ、難しい人間関係、テストや大会での極度の緊張、そして挫折。
「・・・・・・なんでさっさと辞めないのかな?」なんて疑問も浮かんできてしまうほど。


読み進めていくうちに、その理由もわかっていきます。
つらくて苦しくて逃げたくてたまらないけれど、スケートはティリーの生活そのもの。
早朝から深夜まで、スケートで型取られた人生しか知らないのですから。
いずれピリオドをうつときが訪れることを理解しつつ、昨日と同じ明日がこないことを非常に畏れてもいる。
10代ならではの、相反する痛み。


スケートはティリーからたくさん奪いましたが、与えたものも大きかった。
一対一のレッスンは女性コーチに自分だけを見つめてもらえるかけがえのない時間。
大好きなコーチに抱きしめられたときの喜び、年上のチームメイトへの淡い想い、女の子に囲まれる安堵感などなど。
スケートはたくさんのものを彼女に与えたのです。


スポーツでも習い事でも、小さなころから長くひとつのことを続けた経験がある方なら、より共感できる部分が多いと思います。
わたしは残念ながら、そうした経験はないのですが。


物語は著者がアメリカのノービスのテストにパスしたところで終わります。
少女の習い事としては相当な腕前。でも、トップレベルには到底、届かない。
ついにスケートを辞める決心をし、周囲に伝える場面にはこころを揺さぶられました。
おかあさん!もっと違うことばをかけてあげてほしかったよ~!?


スケーターなら誰もが作るという「チャート」なるものを、わたしはこの本で初めて見ました。
スタートからフィニッシュまで、演技の流れに沿ってジャンプやスピン、ターンのポイントなど各エレメントを図や表にしてびっしりとノートに書き込むのだそうです。
ときに同じ場所で何度も回転したり、ときに反対方向へ鋭くターンしたり、ときになだらかにゆったり弧を描いて滑ったり。


スケートのチャートは人生によく似ています。
ティリーのライフチャートはまだ始まったばかり。
これから、どんなかたちを描いていくのでしょうか。




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