2014-2015 フィギュアシーズンを振り返って (男子シングル編)
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やっと、先シーズンのフィギュアの総括記事をアップできました・・・。
今シーズンのグランプリシリーズ(10月から)が始まっちまうんじゃないかとドキドキでしたよ。
(ちなみにジュニアのグランプリシリーズは始まってますよ~)
3月に開催された世界選手権をレポしつつ、フィギュア男子シングル2014-2015 シーズンを振り返ります。
男子シングルの実況は小林千鶴さん、解説は待ってました!杉サマこと杉田秀男さんです~!

ついにハビ選手が頂点に!
少し前までは、ジャンプはすごいけど、それ以外は・・・てな印象だったのに、滑りもスピンもステップも表現も、すっかり洗練されて素晴らしい選手になりましたね~。
ショート、フリーともに世界チャンピオンにふさわしい演技でした!
なんと、フリーの演技構成点はゆづ選手よりテンくんより高かったんですよ。
直前に滑ったゆづ選手の得点を上回ったとわかったときのアンビリーバボーな驚きぶりったら・・・

優勝インタビューでは「オリンピックチャンピオンのゆづ(「ゆづ」って言ってました♪)に一度でも勝てたなんて!これは大変なこと。信じるのに時間がかかりそう・・・」みたいなコメントをしてました。
いつも場を和ませるムードメーカーで、プレスインタビューでも常に笑いをとろうとしている愉快なハビ選手。ホント、いいやつです。
若いころから、こういう心掛けの方が将来オヤジギャグを連発する達人に成長するのでしょうか?
ゆづとハビと。世界のトップを争うふたりがチームメイトで仲良くやってるって、前例がないんじゃないでしょうか。
千鶴アナが「お互いを高めあう素晴らしいライバル」とコメントしてましたが、まさにその通り。
優勝おめでとうございます!!!

残念ながら連覇はなりませんでした。
アクシデント続きだった今シーズン。今回も万全ではない状態での出場です。
コンディションが良くないなかでも、これだけのことができて評価もしてもらえる。
ホントに素晴らしい選手ですよね!
ショートはジャンプミスがありながらも、トップに。それだけ全体の評価が高いという証左です。
この『ショパンのバラード』のショートプログラムは来季も継続だそう。
音楽が流れ、ゆづ選手が動き出した瞬間に会場が静謐なゆづワールドに包まれる・・・この感じがとても好きなので継続は嬉しいです♪
フリーの序盤で立て続けに四回転を失敗したときにはどうなるかと思いましたが、さすがにゆづ選手。
あとはしっかり引き締め、全体としてハイクオリティーな演技にまとめあげました。
ミスを決してひきずらない、この精神力の強さはどこからくるのだろう~?
そして、キスクラで次に滑るハビ選手に掛け声をかけて応援してましたね。
この爽やかなスポーツマンシップに杉サマがいたく感動なさってました~。
それにしても、演技が終わったあとリンクに投げ込まれる花束やプーさん

次に滑る選手のウォーミングアップの場所がないほどですよ。
ゆづ選手の責任じゃありませんが、ちょっと進行に支障をきたすレベルじゃないでしょうか・・・?心配だ。
ところで、先日の「平昌(ピョンチャン)オリンピック後引退、プロ転向宣言」報道は何だったんでしょ?
「そんな先のこと、今言わなくても・・・」と思っていたら、翌日だったか、あっさり撤回されていたような???
来シーズン(いえ、もう今シーズンですけどね)は最後まで体調万全で思いっきり活躍して欲しいと思います。

カザフスタンのアルマトイ、2022年冬季オリンピック開催ならず・・・。
テンくんが五輪招致大使としてがんばっていたから、わたしも応援してたんですけどね。残念。
笑うとえくぼがかわいいテンくんですが、じつは「カザフスタンの英雄」です。
大人気で、うっかり外も歩けないらしいよ。
まだ若いけど、りりしくなって、お国をしょって立つ風格がそなわってきましたよね。
2月の4大陸では、今季世界最高得点で圧巻の優勝!
いつもシーズン後半にピークを合わせてくるテンくんだけに、今大会も、と期待が高まりましたが・・・。
ショートでは、音楽が出ない不運もあってか、絶好調だったという4回転にミスが出てしまいましたね~。
ただ、フリーは素晴らしかった!
ヨーヨー・マの音楽にのって打楽器のリズムの変化を見事に表現していました。
さて、今大会のメダリスト3人プラス復帰予定のPちゃんサマあたりが現在の男子シングルトップ集団だとすると、次に続く「もうすぐトップ」狙いは次の3人でしょう。
それぞれ、個性や強みをしっかり持っている選手たちなので、ピースがうまくはまれば、すぐにトップに駆け上がることができる面々です。もしかして来年の表彰台には、この中の誰かが・・・?
4位 ジェイソン・ブラウン(USA)
柔軟な身体を自在に使いこなし、スピンやステップのポジションが多彩で表現力豊か。魅せる力は格別です!
4回転ジャンプはまだ組み入れていないものの、そのほかのジャンプの安定性は抜群。
しかも演技の流れのなかに自然にジャンプが溶け込んでいる感じです。
演技後、いつもお客様からたくさんの拍手歓声をもらう選手ですね。
休むところがない密なプログラム構成はピカイチで、演技構成点の「つなぎ」ではなんと!10点満点を出したジャッジがいました!
4位になったことをとても喜んでいてインタビューでもニコニコでした。
今後、4回転を安定的に飛べるようになれば、きっと表彰台はすぐそ・こ・に。
7位 マキシム・コフトン(ロシア)
ショート(ゆづ選手の直後の滑走でした・・・)の大失敗でインタビューエリアに姿を見せないほど落ち込んじゃったようでしたが、フリーは攻めてきました!
三度の4回転に加え、後半にはトリプルアクセルからのシークエンスも入れる超ハードな構成をこなし、総合7位まで盛り返しました。
素晴らしい能力を持ちながら、ひとつミスをするとなかなか立て直せない傾向が見られますね。そこさえ克服できれば。
インタビュー中、常に眉間にシワを寄せてて、ため息が多い・・・。神経質なのかな~?
いつも思うんですが、この方ショートもフリーもパーフェクトだったら、いったいどれだけ点が出るんでしょう?
来季はぜひ、そんな演技が見てみたいです。コワイ気もするけど。
10位 閻涵(チャイナ)
ハンやん選手の豪快なトリプルアクセルは、男子フィギュアの華です。ザ・おとこのフィギュア。
力強くダイナミックなスケートは、ほかの誰も持っていない彼だけの魅力です。
今回、ショートはそこそこまとめたものの、フリーは地元開催のプレッシャーからか、大崩れしてしまい残念な結果になりました。
でもでも、ジャンプだけではなく、滑りや表現力も、かなり高い評価を受けるようになってきましたね。
2022年の冬季オリンピック開催は北京に決まったことだし、今回のほろ苦い経験を活かして、さらに上を目指して欲しいです。
さらに「もうすぐトップ」を追う次世代グループ(ややこしいな!)のはこちらの3名かな?
5位 ナム・グエン(カナダ)
ショートもフリーもエッジエラー以外はノーミスのクリーンプログラムを披露したナムくん。
抜群の安定感で、鮮烈な印象を残しました!
ちなみに彼はベトナム系カナダ人だそう。アメリカもカナダもアジア系の選手が強いですね。
オールラウンダー型でとてもバランスがよい選手です。
まだ16歳で少年な雰囲気のナムくん。これからぐんと背が伸びたり筋肉が付いたりするのかな?
そのへんはうまく乗り切って順調に成長して欲しいですね。
それにしてもオーサーコーチの元からはいい選手が次々と出ます。
しかもチームとしての結束力が強いようで、みんな仲よく、いい雰囲気みたいですね。
今大会のエキシビションの最後で、最近恒例のゆづ選手の4回転(ループ?)披露のあと、ハビ選手が続き、「ナム!おまえも行け~!」てな体育会系のノリでナム選手も(いやいや)4回転をやらされてたのが面白かったです。
心の準備ができてなかったのか、ナムくんはあえなく失敗。
あとで先輩たちにぼこぼこに・・・されてないよね。可愛がられてます、きっと。
そして、女子のときはやや盛り上がりに欠けたグリーンルームですが、男子ではめでたく初代グリーンルーム・アイドルが誕生しました。ナムナムヌードルくんです~(ナムくんのニックネームだそうです。同じチームのハビ選手がインタビューで明かしてくれました。由来は不明。ヌードル好きなのか?)。
しばらくナムくんがグリーンルームを独占していたもんで、しょちゅうアップになってましたね。
恥ずかしそうにしてましたが、途中からミーシャが加わり縫いぐるみ遊びで盛り上がってました。
これでフィギュアファンにしっかり顔を覚えてもらったんじゃないでしょうか。
11位 ジョシュア・ファリス(USA)
昨年のNHK杯でsawarakaの推しメンになったジョシュア選手ですよ~(そのときの記事は⇒コチラ)。
その後、4大陸では実力を発揮して銀メダルを獲得!わーい♪
世界選手権は意外にも初出場です。
ショート、フリーともにジャンプの調子が今ひとつでしたかね。
スピンやステップでは滑らかで優雅な滑りが見られ、ジョシュア選手の実力は十分に感じることができました。
姿勢がきれいで、情感あふれるステップは見ている人を引き込む魅力がある、と杉サマも高評価。嬉しかったです♪
「自分に足りないのは精神力。強い気持ちを持てばさらに上を目指せる」とインタビューに答えていたジョシュア選手。その意気だ!応援してますよ!
宇野 昌磨(ジャパン)
今大会には出場していませんが、期待を込めて世界ジュニア優勝のしょーまくんをこのグループに入れてみました。
しょーまくんについては⇒コチラをごらんください。
そのほか、今シーズンの総括として、チェックしておきたい選手はこちら。
6位 ミーシャ・ジー(ウズベキスタン)
ミーシャが世界選手権で6位に!夢じゃなかろうか。
昨年は27位でフリーに進めなかったのに。素晴らしい躍進です。
以前から表現力や音楽との調和には定評がありましたが、今年はジャンプがぐんと安定し新たな武器になりました。
本人もインタビューでキャリア最高の演技と評した、フリーの『シェルブールの雨傘』はホント素晴らしくて涙が出ました。
4回転こそありませんが、演技全体がひとつのドラマになってました。
「確かに4回転時代ではあるけれど、4回転がなくてもスピンやステップで魅了して上位に入る選手がいるのは特筆すべきことだ」と杉サマもおっしゃってました。
さらに付け加えれば、ミーシャはコーチもパパ。振付もパパとママとご本人。
実績あるコーチに教えてもらっているわけでもなく、有名な振付師についているわけでもない。
それでも世界選手権で6位になったのです。
練習場所や大会のための遠征には苦労しているようで、インタビューでは苦しい事情も明かしていました。
わたしがお金持ちなら、こういう選手を支援したいな~。
8位 アダム・リッポン(USA)
世界選手権で初の4回転ルッツ認定なるか!?
話題のひとつでしたが、残念ながら今大会では不発でした。
でも、持ち前の美しい演技を見せてくれましたね。
意外な結果だったのは、日本代表のこのおふたり。
12位 小塚 崇彦
16位 無良 崇人
ふたりともショートの大失敗が響いて、フリーはまさか!の第一グループ滑走でした。
しかも一番滑走が小塚くん、二番滑走が無良くんという世にも珍しいことに。
フリーでは、それぞれのよさを発揮してくれたと思います。
特に無良くんの力強いファントムは見応えありました!
(ちなみに2番滑走の無良くんから『オペラ座の怪人』が3人続きました)
ただ、得意なはずのトリプルアクセルがパンク続きで癖になりつつある?のが心配だなあ、と思っていたら・・・。
解説の杉サマからは意外にもスピンをもっと強化して欲しいとの注文が。
同じところで回転するスピンは印象が強いので、さらに上を目指すには強いスピンを持ってほしいとのことです。
なるほど、そこか!ジャンプじゃなくて課題はスピン。
ジャンプは、もう、ホントに、ほんのちょっとしたタイミングのズレで失敗を避けられないけど、スピンは違います。
スピンで点が取れるんだ、という自信があればジャンプにも余裕を持って取り組むことができるハズ。
そんな解釈でよいのかな?さすが杉サマ、目の付け所が違うわ~。
みんながんばってくれましたが、この結果で来季世界選手権の男子シングル出場枠は「2」に減ってしまいました。
むしろ女子の方を心配していたのですが、男子が減枠とは・・・。
まあ、来年すぐ取り戻してくれると信じています。
ただ、これで、ニッポン男子の世界選手権の出場権争いがさらに激化しますね~。
【 追記 】 唐突ですが、小塚くん、婚約おめでとうございます!お幸せに!
町田樹選手の引退について
世界選手権代表発表の場での引退宣言とは。
「おいおい、そこで言うべきことじゃないだろう」的な違和感がいまだにぬぐいされないワタシです。
細かいことを気にし過ぎでしょうか。
世界選手権銀メダリストの偉大なスケーターであることは間違いないのですが。
町田選手が好きだっただけに、何と言うか、すべてが残念です。
ここからは、お待ちかね?杉サマ特集です。
「読みの杉田」こと杉サマの予言が今大会、特に冴えまくってましたので、いくつか書き留めておきます。
まあ、杉サマはISU名誉レフリーでジャッジ歴が長~いお方ですから、これは予言じゃなくて必然なのか?
【 杉サマ予言禄 】
☆ 小塚くんがらみ
・ショート演技直前
「だいぶ、緊張してますね~。恒例の佐藤コーチの背中ぽんの前に出て行きそうになりましたから。ちょっと心配ですね~」
⇒ ショート大失敗で19位に沈む
・フリー演技直前
「今日は落ち着いてますね。背中ぽんの後にすっと出て行きましたから」
⇒ フリーでは自分の演技ができて盛り返す
☆ ゆづがらみ
・演技を終えてキスクラで得点待ちのとき
「ミスはあったがショートの点差が生きてくるんじゃないですか」
⇒ その通り、暫定トップのテンくんをかわしトップに。その後、ハビに抜かれましたが。
☆ ボロノフがらみ
・最終グループ6分間練習中
(3位まで点差がない状況で4位)「ただ、この(メンバーの)中でメダルを、って気持ちが出てくるとどうなんでしょうね~」
⇒今季、とても安定してたボロノフ選手がボロボロに。なんと13位に落ちてしまいました。
・演技中、トリプルアクセル飛ぶ直前
「(間が)長い!」 ⇒ ステッピングアウトに
☆ ハンやんがらみ
・演技開始直前
「(3人いい演技が続いたので)このあとに滑る地元の選手にはちょっとつらいものがありますね。(中略)プレッシャーにならなきゃいいですけどね~」
⇒ なっちゃったみたいで、自分の演技ができませんでした。ショート5位から10位に。
・4回転飛ぶ直前
「ちょっと踏込が強すぎる!」 ⇒ 転倒に
☆ ブラウンがらみ
・後半のトリプルアクセル飛ぶちょい前
「彼が一番注意しなくちゃならないのはアクセル」(ブラウン選手はアクセルがやや苦手)
⇒ 回転不足判定に
【今回の杉サマのツボ】
今シーズンから適用されたルールに「同じ種類の2回転ジャンプは2回までしか飛んだらいかん。3回目を飛んだらそのジャンプだけじゃなくコンビネーションなら全体がゼロになるぜ」というのがありましてね。
これは、とても厳しいルール変更で、これまでの大会でも大幅に点を失うケースがありました。
今回の男子フリーでは・・・冒頭の4回転が失敗で2回転になると、後半でこのルールに引っかかるというひとつのパターンがありまして。4回転って、失敗すると2回転になる確率が高いんですね。
さあ、冒頭で4回転が2回転になると・・・杉サマのスイッチがオン!
(この件に関しては千鶴アナもけっこうあおる)
見ているこちらも、ドキドキ・・・!
くるか、くるかと待ち構えて、おめおめと3回目を飛んだら、さあ大変!
「あっ!」「3回目!!」「飛んじゃいましたね~!!!」
ブレジナ、ボロノフ、ベセイエ選手らがあわれ犠牲になりましたとさ。
それにしても、このルール、ちょっとおかしいね。
ショートのノーバリュー扱いもちょっとなあと思いましたが、それ以上です。
スピンやステップも、多くの選手がレベル4を取るので、もっとレベルを増やさないと差がつかないですね。難しいけど。
長々とおつきあいくださり、ありがとうございました。
来年はもっと早くフィギュアの総括記事を書けるように努めます(?)。
夏も、もうおしまいだし、フィギュアシーズンはすぐそこ。あっという間です。
楽しみに待ちましょう。
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